おいしいハンドドリップの基本
守るのは、3つだけ
動画を見ると、注ぎ方の細かい技術ばかりが目に入ります。でも家庭で味を左右しているのは、もっと地味な3つです。湯温・粉の量・時間。ここさえ揃えば、注ぎ方が多少雑でもおいしく入ります。
守るべき3つの数字
| 要素 | 目安 | ずれるとどうなる |
|---|---|---|
| 湯温 | 88〜92℃ (沸騰後30秒〜1分置く) | 高すぎ=苦い/低すぎ=薄い |
| 粉の量 | お湯150mlに対して10g (1杯なら粉14g+湯230ml) | 少なすぎ=水っぽい |
| 時間 | 注ぎ始めから2分30秒〜3分 | 長すぎ=えぐい/短すぎ=薄い |
温度計がなくても大丈夫です。沸騰したお湯をポットに移し、30秒待つだけでだいたい90℃前後になります。深煎りの豆なら、もう30秒待つとまろやかになります。
1杯を淹れる手順
- ペーパーを湯通しする
ドリッパーにセットして、お湯を回しかけます。紙のにおいが取れ、器具が温まります。カップに落ちたお湯は捨てます。 - 粉を入れて、平らにならす
粉14g。ドリッパーを軽くゆすって表面を平らにします。ここが傾いていると、お湯の通り道が偏ります。 - 蒸らす(30秒)
粉全体が湿る程度(30mlくらい)を、中心からゆっくり注ぎます。そして30秒待つ。ここを飛ばさないでください。 - 3回に分けて注ぐ
中心から500円玉くらいの円を描くように。1回目で100mlまで、2回目で170mlまで、3回目で230mlまで。ペーパーの縁に直接お湯をかけないのがコツです。 - 落ちきる前に外す
230mlに達したら、まだお湯が残っていてもドリッパーを外します。最後の一滴には雑味が多く含まれます。
「蒸らし」は何のため?
焙煎した豆には炭酸ガスが含まれています。いきなりお湯を注ぐと、このガスが邪魔をして、お湯が粉の中に入っていけません。
そこで最初に少量のお湯をかけ、30秒待ってガスを抜きます。新鮮な豆ほど、ここでもこもこと膨らみます。膨らみが小さいときは、豆が古い可能性が高いです。蒸らしは、鮮度チェックも兼ねているわけです。
好みに寄せる調整
基本の1杯が淹れられるようになったら、次の1か所だけを動かしてください。
- もっと濃くしたい → 粉を1〜2g増やす(お湯は変えない)
- 苦みを抑えたい → 湯温を下げる(沸騰後1分半待つ)
- すっきりさせたい → 少し粗めに挽く(挽き方の記事)
- 香りを出したい → 豆を新しいものに変える。これがいちばん効きます
味が決まらないとき、9割の原因は「豆が古い」か「粉が少ない」のどちらかです。テクニックの問題であることは、意外と少ないです。
アイスコーヒーにするなら
氷で薄まるぶん、粉を1.5倍にして濃く淹れ、氷を入れたグラスに一気に注いでください。急冷すると香りが閉じ込められます。豆は中深煎り以上が向いています。